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2018年1月の記事

XTAROTじゃんけんカード(4種、井戸じゃんけん)

XTAROTじゃんけんカードは、最大5種類の手の形をカードを使ってプレイするための道具です。サイズは、85mm x 49mmです。

井戸じゃんけんの概要

 「じゃんけん」は、正確な起源は分かりませんが、日本でも昔から伝わる勝負や遊びの手段です。グーは石、チョキは鋏、パーは紙を表したものです。石は鋏に勝ち、鋏は紙に勝ち、紙は石に勝ちます。とても分かりやすい勝敗の規則です。単純なのに明快な三竦(すく)みの構造があることで、逞しく継承されている文化の一つと言えます。
 フランス・ドイツなどヨーロッパの一部では、これに井戸を加えた4種類のじゃんけんも行われています [1]。井戸は、石と鋏に勝ち、紙に負けます。石も鋏も井戸に落ちてしまうけれど、紙はひらひらして井戸を塞ぐからです。井戸の形は、親指と人差し指で輪を作ります。ここでは、それを「井戸じゃんけん」と呼びます。

 本作【井戸じゃんけんカード】は、「井戸じゃんけん」をカードで実現するものです。カードを1回きりのプレイにすれば、回が進むにつれて使える手の選択肢が減っていきますので、相手の残りカードが何かの推理も必要になり、戦略的になります。なお、通常のじゃんけんをカードで行う手法として「限定ジャンケン」[2] が知られています。
 例えば、4人の場合、4種を1枚ずつで4枚を手に持って勝負を始めます。同時にカードを出して勝敗を決めます。手持ちの残りカードで勝負を進めて計4回の勝負になります。手持ちのカードをランダムに配る方法もあります。そうすると、カードの初期配置が偏ることで予測が難しくなります。

 じゃんけんの引き分けを減らす方法として、次の2つが挙げられます。ひとつは《ゲーマーじゃんけん》[3]。そのルールは、出した手のうち最も少数派の者が勝ち、2つの少数派が同数の場合は、じゃんけんとして強いほうが勝ち、3種類とも同数の場合は引き分け、というものです。もう一つは《チョキじゃんけん》[4, 5] です。そのルールは、通常のじゃんけん勝負において三竦みによる引き分け時はチョキの勝ち、というものです。
 いずれも、全員が同じ手のときは引き分けで、2人が残ったときは、通常のじゃんけんになります。これらにより、引き分けは激減して、決着時間が一気に縮まります。当然ですが、これらを使う場合は、じゃんけんを始める前にどのルールを使うかの取り決めが必要になります。

井戸じゃんけんの勝敗規則

 引き分けを減らす2つの方法は、どちらも「井戸じゃんけん」に適用可能です。まず、《ゲーマーじゃんけん》を適用した場合ですが、少数派の3種類が同数なら、三竦みが起こるなら引き分けで、それ以外はじゃんけんとして強いほうが勝ち、となります。一方、《チョキじゃんけん》を適用した場合は、三竦みによる引き分けはチョキの勝ちになります。残ったのは四竦みの場合ですが、四竦みならグーの勝ちと規定します。本作では、後者のルールを推奨します。これによって、引き分けがほとんど起こらない「井戸じゃんけん」ができました。

井戸じゃんけん勝敗表

〇は勝ち、×は負け、空白はその手を出した人が居ないことを意味します。
全員が同じ手のときは引き分けです。

井戸じゃんけん勝敗表

井戸じゃんけん相関図

「井戸じゃんけん」は、「じゃんけん」グー(石)・チョキ(鋏)・パー(紙) に、欧州で使われている4番目の手の形、イド(井戸)を加えたものです。 イドは、グーとチョキに勝ち、パーに負けます。石も鋏も井戸に落ちてしまうけれど、紙はひらひらして井戸を塞ぐからです。引き分け対策として、 三竦(すく)みはチョキの勝ち、四竦みならグーの勝ちとしています。

井戸じゃんけん相関図

参考文献

[1] "rock, paper, scissors, well", Mathematics Stack Exchange (2013/6/3)。
[2] 福本伸行:"賭博黙示録カイジ", 「限定ジャンケン」が登場する (1996)。
[3] "ゲーマーじゃんけん", Table Games in the World などWeb上で多数。
[4] 柴崎銀河:"チョキ勝ちじゃんけん", 米光一成の表現道場 (2017/5/20)、同 Blog "ちょきじゃんけん" (2017/6/23)。
[5] 米光一成:"あたらしいじゃんけんを作ろう2", こどものもうそうブックス (2017/10/19)

ゲーム遊び方(ルール)を募集

「エクスタロット」を使った新しいゲームの遊び方(ルール作り)を募集しています。
今回のテーマは「大アルカナの活躍」で、応募期限は2018年4月末です。
優秀作を参加者の互選で決めます。
詳しくは『エクスタロットの遊び方(ルール)提案コンテスト』を見てくださいね。

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謹賀新年(2018)

2017年は、新しい発見が続いた年 --- 様々なことが変化し、その対応で反省するとともに、今までに無かった発想が次々に芽生えた年でした。

パブリックイベント
 今年も米光一成氏が講師をする道場(表現やコンテンツ制作を指導するセミナー)に参加しました。この講座は月1回で半年間おこなわれるもので、テーマを変えながら毎年実施されています。その道場で、面白かったことが2つあります。
 ひとつは「新しいじゃんけんを作ろう」というテーマで知恵を寄せ合っていたとき、グー・チョキ・パーが同時に出た場合はチョキが勝つことにする『ちょきじゃんけん』の提案ができたことです。これは大勢でじゃんけんをするときにどうしても引き分けが多くなる問題を解決します。
 もう一つは、この「ちょきじゃんけん」で王様を決めるというゲームをイベントで行うことになり、そのときのテーマソングを作成したことです。これは米光さんが歌詞を提示するとともに作曲できる人は誰でも曲を作ってねという課題に応じたものです。その結果できた楽曲は、「じゃんけん国王讃歌」というタイトルの動画になってyoutubeに掲載されました。

事業の拡大
 XTAROT(エクスタロット)というタロットとトランプを併せたようなカードセットを2016年に発売しました。これは元々ゲーム開発用に投入したものですが、バリエーションとして、カードを自作できる片面が白紙のカードをシリーズ化して販売したところ、2017年に、学習塾、大学、研究機関、商社などからの注文が急増し、何度も増刷をする状況に発展しました。また、占い専用のエクスタロットDX版も発売に至りました。
 上記の道場でお付き合いを始めた米光一成氏とは、米光さんの作品を弊社が販売するという提携関係のなかで取扱うゲーム類が徐々に増えています。具体的には、「思考ツールとしてのタロット」「レディファースト」「はぁって言うゲーム」「想像と言葉」などです。「米光ゲーム三昧」というサイトを開設して、ここに順次追加しているところです。

今年の抱負
 音楽の創作活動は「じゃんけん国王讃歌」が引き金になって再開しましたので、まずは、過去の作品のリメークを行ない、さらに構想していたものを実現したいと思います。
 XTAROT(エクスタロット)は、ゲームに使うツールですが、それ自体で遊び方(ルール)を固定していないため、多くの方が様々な遊び方を考案しています。2018年は、遊び方をさらに募集して発展させたいと考えています。また、XTAROTは、ゲームに使う道具、カード・駒・チップ、そういった総合コンセプトに付けたブランド名ですから、そういった発展も進めていきたいと思います。

今年(2018年)もよろしくお願いします。

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