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DEAの閉校に思う

DEAは、ゲーム系企業が出資して作ったゲームクリエーター養成校の一つである。
フルネームは、「デジタル・エンタテインメント・アカデミー」という。
正式には学校法人ではなく、ゲーム会社付属の訓練センターに近い。

私は、鈴木銀一郎先生の紹介で一度だけDEAの教壇に立ったことがある。
そのときは、ゲームにまつわる自然法則や数理のこと、
美しいと感じている現象、シミュレーションの題材の探し方や評価の方法、
などを熱く語った。

学長の平野雅一郎氏とお話をしたことがあるが、
生徒を育成する心構えは大学レベルのものを感じていた。
あえて学校法人にしなかった理由は、
カリキュラムを国に束縛されたくなかったからだという。
授業の内容は高いレベルが維持されている。
在籍さえしていればゲーム会社に就職できるほど安易ではない。
努力して実力を身につけなければ進級できない。
学生の作品は、CESAの主催するゲーム制作コンテストで
ほぼ毎年のように大賞や優秀賞を獲得している。
生徒からは技術や知識を身につけたいという気迫が伝わってきたので、
教育に熱心な、いい学校だと感心していた。

そのDEAが2009年の3月末で閉校となった。
まことに残念な話である。

DEAの閉校が決まったのは突然ではなく、2007年秋に
新規の学生募集を停止することで明らかになった。
少子化の影響や一般大学がエンタテイメント専修コースを創設したことなどの要因が
後の著書「DEA 式ゲーム制作者養成手法」のなかで説明されているが、
ソフト開発(グラフィックとコーディング)の海外への発注機会が増えたことで
国内の開発要員の需要が減ったことも一因と推測する。

それを裏付けるかのように、DEAの出資企業(=卒業生を受け入れる会社)
は、目まぐるしく入れ変わっている。
設立時から一貫して出資を維持したのはスクウェアエニックスだけで、
閉校後の事務所はスクウェアエニックスの社内に置かれた。

状況としては以上であるが、この分野が産業として衰退しているわけではなく、
デジタル・エンタテインメントのノウハウを持つ人を育成する必要性は
今後これまで以上に高まると思う。
必要とされる技術が高度化していることを考えると、
総合大学の担う役割が大きくなっていくのかもしれない。

DEA在籍中に頑張っていた生徒の方は、
卒業就職後も各企業で実力を発揮しているものと確信します。

柴崎銀河


関連記事 スクウェアエニックス株主総会


なお、2009年3月、DEAの始まりから閉校までの苦労話をまとめた本が、
アスキー・メディアワークスから、原案:平野雅一郎、
『なんでそんなにゲーム業界に入れるの?~DEA 式ゲーム制作者養成手法~』
のタイトルでコミックの形で発刊された。


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