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2006年10月の記事

モンスターメーカーの公式HP/2006年10月

【2006年】
10/29 MMRリザレクション大会 銀バー杯 優勝:銀バーさん(午前)、フライさん(午後)
10/26 MMR: 銀河ルール新カード認定 「武闘僧正ドミニク」 提案:DEATH-NOさん
10/20 ポーカーダイス第40回競技入賞者を発表 優勝:たぅさん
10/12 MMR: 銀河ルール新カード認定 「施術師ラルゴ」 提案:DEATH-NOさん
10/05 MMR: 銀河ルール新カード認定 「幻影地形」 提案:炎使いビゲルトさん
10/03 MMR: 銀河ルール新カード認定 「治療師ナタリー」 提案:DEATH-NOさん


モンスターメーカーの公式HP

TCGについての研究報告 その2 TCGの特徴 鈴木銀一郎

トレーディングカードゲームについての研究報告

鈴木銀一郎


〔その2 TCGの特徴〕

最大の特徴は前述したように「デッキをプレイヤーが決める」という点にある。
TCGに使用されるカードは通常200~300種類である。
それが「スターターセット」と「ブースターセット」に分けて販売される。
「スターターセット」は最も基本的なカードが60枚(60種類ではない)が入って、
1200~1500円の価格がつく。

「ブースターセット」は8~10枚が入ったパックで、300~500円である。
(10~24パックが入って1つのボックスとなる)
いずれのセットも、入るカードはランダムに決定される。
カードはセットに含まれる確率から、「レア」、「アンコモン」、「コモン」、
「フィックス(必ず入っている)」などと分類される。
強力なカードはたいてい「レア」か「アンコモン」である。
「スターターセット」に含まれる「レア」、「アンコモン」の数は少なく、
それだけでプレイに臨んでも、とても勝負にならない。
そこで、勝つためには「ブースターセット」を買う必要がある。
しかも、大量に買わなければならない。いわゆる「ボックス買い」である。
これまでのカードゲームなら、グループで1セットあればよかった。
どんなに売れても、1人1セットが限度だった。
ところが、TCGは1人が数セットから数十セットに相当する金額を投資
することになる。
数十万円を投じたと豪語するユーザーもよく見かけることである。
「情報のユーザー発信」は同時にユーザーに負担増を強いるという
双刃の剣の意味もあった。

TCGがこれまでのカードゲームと2桁違いの売上を上げた理由はここにある。
ただし、メーカーにとっては、メリットだけではない。
これまでのカードゲームより数倍のカードを用意しなければならないため、
初期投資が大きくなるというデメリットが存在する。
つまり、リスクが大きい商品なのである。
このことから、TCGの二極分化は必然のこととなる。
特定のTCGのカードを大量に購入したユーザーは新しいTCGが
発売になっても、よほどのことがない限り見向きもしない。
これまでの投資が無駄になるからである。
それだけではない。
大量投資ユーザーは何枚もあって余っているカードを友人などに提供し、
新規参入を勧める伝道者となる。
(ゲームショップでは箱を用意し、ヘビーユーザーが不要なカードを入れる箱を用
 意しているところもある。
 新規参入希望者はその箱から自由に持ち帰っていいのである)
こうして売れるTCGはますます売れ、売れないTCGはたちまちのうちに
市場から去っていくことになる。
これまで成功したTCGは『MTG』のほかに『モンスターコレクション』、
『ポケットモンスター』、『デュエルマスター』、『ガンダムウォーズ』、
『遊戯王』、『ファイアー・エムブレム』、『アクエリアンエイジ』など十指にも満たない。
しかも、これらのうちのいくつかはすでに消滅寸前であるといわれている。
ただし、これまでブームを起こしたシミュレーションゲーム、RPG、
カードゲームに比べると、新しく発売されるタイトル数が少ないことも事実である。 
その代わり、既存のタイトルは半年から1年ごとに「エキスパンションセット」を発売する。
つまり、新しい「ブースターセット」である。
また、2~3年で新しいバージョンが発売される。
プレイヤーはまた新たなる投資が必要となる。
ユーザーが「もうTCGを止める」と宣言するのは、たいていこういうときである。
勝つための出費が負担に感じるようになったのである。

TCGの第2の特徴は(これまであまり指摘されていないが)
ゲームに要する時間が約40分と短いことである。
これによって、1日で終了するコンベンションが可能になった。
コンベンションは通常「スイスドロー方式」で行われる。
32名の参加で5時間、100人規模の大会でも8時間で終了することになる。
中規模の大会で4~5時間というのは、シミュレーションゲー
ムやRPGの1プレイに要する時間に等しいことに注目すべきであろう。
カードゲームは40分程度で終わるのがほとんどだが、
ブームを起こした『モンスターメーカー』も発売当初はキャンペーンゲームとして
デザインされ、終了までは5時間以上かかっている。
(最近リメイクして発売されたバージョンでは、1プレイ中心のルールに変更され、
30分程度で終了するようになっている)
近年、よくプレイされているアナログゲームは長くて60~80分、
短ければ30~40分である。
このことから、「21世紀のゲーム」は1時間以内でなければ成功しないと言うことが
できるだろう。
1時間以上かかる場合は、ゲームとしては傑作であっても
「20世紀タイプのゲーム」なのである。
コンベンションは通常メーカーまたは販売店主催で行われる。
(販売店主催であってもメーカーは賞品を提供するのが普通である)
これらのコンベンションでの優勝、あるいは入賞が、
プレイヤーの購買意欲をそそっていることはいうまでもない。
また、新規参入へのモチベーションにもなっている。
「自分でデッキを構築する」ことがいかに魅力があろうが、
TCGがこれまでのゲームのように長時間かかり、
1日で終了するコンベンションの開催が不能であったら、
これほどの流行はしなかったろう。
(中には2日がかりという大会もある)
ただし、メーカーにとっては売上を維持しようとするなら
常にコンベンションを企画しなければならない。
トップブランドの『MTG』では、毎年世界規模の大会が開催され、
賞金総額も数億円となる。
日本大会も今年で10回目となり、賞金総額100万円が提供される。
このために、プロと称されるプレイヤーが出現した。これもTCGならのことである。

第3の特徴は、カードの種類が多いということである。
最初の発売時で300種類、エキスパンションが発売されれば
合計で400~500種類、エキスパンションが次々と発売されれば数はさらに増えていく。
これほどカード(駒)の種類が多いゲームは他に例を見ない。
そのため、TCGは「コレクションアイテム」としての側面を持つ。
ユーザーは自分のデッキ構築戦略と関係なくても、
未所有の「レア」カードを求めてブースターパックを買い、
「コンプリート」を目指す。
(コンプリート目前で、ブースターパックの封を切るときの
 ワクワク感はかなりのものである)
カードの中にはブースターパックでも手に入らない「プロモーションカード」や、
同じカードでも銀色などの印刷を加えた「キラカード」もあって、
「フルコンプリート」は容易ではない。
そのために「シングル」と呼ばれる1枚売りの市場が成立した。
販売店は、ユーザーから買い受けたり、自らセットを崩したりして、
カードそれぞれに値段をつけ1枚売りを行う。
カードによっては数千円の価格がつくこともある。
(このため、販売店は古物商の免許を取っている)
ユーザー間でカードの「トレード」も行われる。
(これが「トレーディング・カード・ゲーム」の名称の由来である)
ただし、「シングル」買いに比べると、その量は少ないようである。
カードの種類の多いという特徴は、ゲームシステム上では「コンボ」と呼ばれる
独特のシステムを生み出した。
TCGの基本システムについては、それほど特別と思われるものはない。
例外を除いては「2人」対戦型(duel)ゲームである。
簡単に説明すると、プレイヤーは「クリーチャー(キャラクターやモンスター)」を
召喚して場にだす。
「クリーチャー」は互いに攻撃し合い、その効果が一定条件を満たすと勝利となる。
 ダイスは通常使用されず、クリーチャーの持つ特性と、
出される攻撃用のカード、防御用のカード、場の条件カードなどによって
成否が判定される。
カードによっては、1枚では何の効果もないが2種以上を組み合わせて使用すると
大きな効果が生じる場合がある。
そのような特殊な組合せが「コンボ」である。
通常のゲームではカードや駒の種類が限られているので、
1つのカード(駒)で「コンボ」に相当する効果を発揮するのが普通である。
また、コンボの中にはルールやテキスト(カードに記載されている使用法や効果)
を読んだだけでは気づきにくいものもある。
鈴木が関係している『モンスターメーカー・リザレクション(以下『MMR』と略)』では、
デザイナー側が全く予想もしなかったコンボを組んでみせるプレイヤーもいる。
(他のTCGでもそのようなことが発生しているかどうかは不明だが、
 皆無というわけではないだろう。
 あるいは『MMR』が他のTCGに比べるとストーリィ性に富んでいるという点からの
 特例かもしれないが。
 ただし、そういうデッキの勝率がいいかというと、そうでもない。
 中には、対戦相手を驚かすためだけのコンボもある)
このようにコンボは裏技的なものであるが、注目しなければならないのは、
ユーザーが自分でデッキに組み込むという点である。
つまり、(メーカー側が予想していたにせよ)
ユーザー発信の要素の強い裏技であるということである。

第4の特徴は、さまざまなプレイ関連グッズが販売されていることだ。
他のゲームではセットを購入すればそれで充分にプレイでき
るが、TCGではプレイ関連グッズ(キャラクター関連でないことに注意)が
どうしても欲しくなる。
デッキケース、カードケース、ポイントを明示するためのマーブル、
コレクターのためのカードホルダー、カードを保護するためのプロテクター
(スリーブともいう)などなどである。
(ゲームによってはカードの状況を明示するための盤も使用される)。
他のゲームでは、セットを購入すればそのままでプレイできるのが普通である。


続き

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この記事は
日本シミュレーション&ゲーミング学会(JASAG)の研究部会に寄稿されたものである。


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